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■漱石の散歩コース■


 余は晩餐前に公園を散歩するたびに川縁の椅子に腰を卸して向側を眺める。
 倫敦に固有なる濃霧はことに岸辺に多い。余が桜の杖に頤を支えて真正面を見ていると、遥かに対岸の往来を這い廻る霧の影は次第に濃くなって五階立の町続きの下からぜんぜんこの揺曳くものの裏に薄れ去って来る。しまいには遠き未来の世を眼前に引き出したるように窈然(ようぜん)たる空の中(うち)にとりとめのつかぬ鳶色の影が残る。その時この鳶色の奥にぽたりぽたりと鈍き光りが滴るように見え初める。三層四層五層共に瓦斯(ガス)を点じたのである。余は桜の杖をついて下宿の方へ帰る。

 (
カーライル博物館』より)


【コース】
The Chaseの下宿〜Lavender Hill〜Battersea Park

漱石の5番目の下宿からバタシーパークまで、漱石の夕食前の散歩道を歩いてみました。
片道2km強の道のりです。

※Google Map→「81 The Chase, london

下宿前から出発!
The Chaseをまっすぐ北へゆくと・・・

Lavender Hillという通りに突き当ります。ここを左折。

Lavender Hill
この辺りは漱石の自転車練習コースの一つ。

ああ悲いかなこの自転車事件たるや、余はついに婆さんの命に従って自転車に乗るべく否自転車より落るべく「ラヴェンダー・ヒル」へと参らざるべからざる不運に際会せり
(『自転車日記』より)


Lavender Hillをしばらく進むと、Queenstown Roadと交差するので、そこを右折します。

Queenstown Road
この道を1.5kmくらい、ひたすら北上します。
ちょっと殺伐とした雰囲気の通りなので、女一人だと歩いていて少し怖かったです。
ロンドンはテムズ河の南北で貧富が分かれると言われていますが(最近ではだいぶ変わったものの)、なるほど、そうかも-_-;

忘月忘日 人間万事漱石の自転車で、自分が落ちるかと思うと人を落す事もある。そんなに落胆したものでもないと、今日はズーズーしく構えて、バタシー公園へと急ぐ。公園はすこぶる閑静だが、その手前三丁ばかりのところが非常の雑沓な通りで、初学者たる余にとっては難透難徹の難関である。今しも余の自転車は「ラヴェンダー」坂を無難に通り抜けて、この四通八達の中央へと乗り出す。
(『自転車日記』より)


ようやくBattersea Parkに到着〜!
はぁぁぁ、疲れたぁぁぁ……。

この距離を「夕食前に散歩」って…、漱石ってばどれだけ健脚なんだ…。

Battersea Park
お天気のいい秋の日だったので、家族連れでいっぱいでした。私もほっと一息。

売店でソフトクリームなんぞ買ってみたり。
これがなかなか美味しかった。

美しい並木道
やっぱり緑の多い所は心が落ち着きますね。
漱石も同じような気持ちだったのでしょうか。

漱石が腰を下ろしたような対岸を望む椅子は今はありませんが、川沿いは綺麗に整備された遊歩道になっています。

テムズ河の対岸に望むチェルシー地区
100年前に漱石の眺めた景色と、寸分も変わっていないであろう風景です。

ちなみにこの近くにはundergroundもovergroundも鉄道駅が全くありません。
バスで帰ってもよかったのですが、ここまで来たらとことん漱石な一日にしてやる!と決めた私。
この段階でかなり疲れていたにもかかわらず、カーライル博物館へと向かったのでありました。


→【カーライル博物館】へ



倫敦漱石散歩