■王立音楽院&リージェンツパーク■


  午後一時半、リージェンツ・パークの南側から路地一つ隔てたメリルボーン・ロードの街路樹わきに埃だらけのBMWを止めて、M・Gは飄々と飛ぶように王立音楽院の正面玄関をくぐっていった。…冬のリージェンツ・パークは、一面の灰色の中に植え込みのくすんだ緑が散っていた。王立音楽院から楽器の音が漏れてくる南側の端は、わずかに水仙の緑が濃く、咲き始めた花が黄色いシミのように見えた。その水仙の散歩道を横切って、セーター一枚にジャケットを着ただけの質素なシンクレアの姿が動いていた。待ち合わせの場所の池まで来るのに、慎重に見えない目を気づかい、方向を逸らせて遠回りしてくるつもりだろう。
 ……
 M・Gとシンクレアは池を半周した。…二人が別れると、どこからか戻ってきた水鳥が羽音をたて、テニスコートを走るボールの音などが響いた。

 (高村薫 『リヴィエラを撃て』より)


【アクセス】
地下鉄Bakerloo LineのMarylebone駅下車

シンクレア教授のお勤め先、王立音楽院。そしてM・Gとシンクレアが会話を交わしたリージェンツ・パーク。この辺りはイーストエンドとは別の意味でもっともリヴィエラらしい場所といえます。
リージェンツ・パークは薔薇の季節が有名ですが、私は早春のこの公園が大好き。
水仙の黄色、クロッカスの青、スノードロップの白と、アーモンドチェリーの薄桃色と、まだ肌寒い空気の中にほっと春の息吹を感じるロンドンの春の風景です。

★Google Map→「Royal Academy of Music, london


メリルボーン・ロード Marylebone Road
左の赤レンガの建物が王立音楽院。

王立音楽院 Royal Academy of Music
シンクレアがいかにも教えていそうな雰囲気ですね〜。

Regents Park
池へ向かう「遠回りの道」

振り返って王立音楽院を望む。

「黄色いシミ」(笑)と言われてしまった、水仙の花。
実際はとっても可憐でかわいらしいですよ〜。

水仙とスノードロップ。
ロンドンの公園には基本的に柵がないので、こうして花の間を歩くことができます。
気をつけないと踏んでしまいそうになります。

「池」
リージェンツパークにはもう一つ池がありますが、小説の文章からするとQueen's  Mary's Gardensにあるこの池の方でしょう。

「水鳥」が飛び立っただけで、ときめきます(←ばかですね、すみません)

「テニスコート」
小説のとおり、池のすぐ側にありました。

【おまけ】
王立音楽院のショップで購入した、絵葉書2枚とRoyal Academy of Musicという文字と建物の絵が書かれた定規。
この定規を使うたびに、リヴィエラ気分にひたっています(^O^)
80p(約100円)で安いものだわ〜。
もっともこのショップ、メインは楽譜なのでグッズの種類はとても少ないです。
楽譜を入れる用の布バッグとかも売っていたのですが、デザインがいまいち微妙で…(ポップな感じ)。




「リヴィエラを撃て」の舞台を訪ねて