■ドーチェスター・ホテル 〜 ハイドパーク■
同じころ、ハイドパークは雨の闇だった。シンクレアは、鍵の壊れた門から公園の散策路に入っていった。後方から追ってくるダーラム侯は、傘もささず、ジャケットもなく、カーディガン一枚の姿で裸足だった。…
先をゆくシンクレアは振り向かなかった。芝生に落ちた雨の粒が一面の銀色に輝いていた。空は暗く、広がる樹影はさらに深い漆黒だが、そうして歩いていく地面はいっせいに発光しているのだった。…
シンクレアは、たった今、パークレーンに面した豪華なドーチェスター(ホテル)のスイートルームから飛び出してきたのだった。
(高村薫 『リヴィエラを撃て』より)
【アクセス】
地下鉄Central lineのMarble Arch駅又は/Piccadilly LineのHyde Park Corner駅から徒歩10分。
★Google Map→「the dorchester hotel, london」
ドーチェスターホテルとパークレーン
小説と一番イメージが違ったのが、ここ。
だって、ドーチェスターホテル前の道、あまりに道幅が広すぎて(片側3車線ですよ!)、いくら夜中でもとても酔っ払いがふらふらと渡れるような道じゃないです。危険すぎます。
パークの門もホテル真ん前にはないから、すこし歩かなきゃですし。
単行本によると「地下道」を通って行ったようですが、地下道もホテルのすぐ近くにはなかったような…?うーむ。。
ハイドパーク。
ドーチェスターホテル側の入口付近。
公園内も、イメージとは少々違いました。
ダーラム侯が倒れこんじゃうような”茂み”はどこにもないっ。
たまにあっても、鉄柵の中。
でも一面の芝生は大変美しく、これは小説のまんまです。
ところでリヴィエラ気分を味わいたい方は小説と同じ冬に行かれることを強くオススメします。ここに限らずロンドンの公園は暖かくなると半裸で日光浴をする人々で溢れかえるので、イメージから激しく遠のきます(笑)
ハイドパークにはリスがいっぱい^^
ようやく見かけたエードリィが倒れこめそうな“茂み”(笑)
それにしてもこの木、イギリスっぽくて素敵だわ。指輪物語とかに出てきそう。
広い広いハイドパーク。夏にはロックフェスティバル、冬にはクリスマスマーケット(移動遊園地付き!)などが行われます。
逆光の方がリヴィエラっぽい。