■ピトロッホリー(スコットランド)■

 ピトロクリの谷は秋の真下にある。十月の日が、眼に入る野と林を暖かい色に染めた中に、人は寝たり起きたりしている。十月の日は静かな谷の空気を空の半途(はんと)で包(くる)んで、じかには地にも落ちて来ぬ。と云って、山向(やまむこう)へ逃げても行かぬ。風のない村の上に、いつでも落ちついて、じっと動かずに霞んでいる。

(『永日小品』より )

スコットランドを旅行した際にエジンバラ発着のハイランド日帰り観光ツアーなるものに参加したのですが、行程表を見てびっくり。あの”ピトロクリ”(この言い方可愛い)が入っているではないですか!まさかこんな日帰りツアーで行けるとは思ってもみなかったので、すごく得した気分でした。
わずか1時間程度の滞在でしたが、大満足。
ちなみに漱石が滞在したディクソン邸は、現在はダンダラック・ホテル(Dundarach Hotel)として営業しています。お値段もそれほど高くないので、ご興味のある方はぜひ^^


ハイランドから南下し、ピトロッホリーへ向かう途中の風景。
雄大すぎる景色にここでバスが止まったらどうしよう…と思ってしまいました(^_^;)

ピトロッホリーの街。
この一本の道を中心に、1時間で全て見きれてしまうくらい小さな街でした。
ここは街ではなく、郊外の自然をゆったりと楽しむ場所なのでしょうね。

なんて寒々しい写真でしょう。
天気が悪いうえに、日も暮れかかってきました。
街の外れまで来ると、その先にはいかにもスコットランドという感じの丘陵が見えてきます。


漱石も降りたであろう、ピトロッホリーの駅。
お出迎えが可愛い♪

遠くに丘陵地を望む、いかにも避暑地?といった感じののんびりとしたプラットフォーム。
駅員さんどころか人っこ一人いなかったけど、今日の運行はもう終わりだったのでしょうか。



倫敦漱石散歩