『嵐が丘』の舞台を訪ねて(ハワース)


2008年の8月下旬の某日、嵐の日に、嵐が丘を訪れました。
狙ったわけではなく、その日しか時間がなかったのである。
ヒースの花が満開でした。
嵐の日は狙わなくていいですが、ハワースに行くなら絶対にヒースの花の咲いている季節に行くべし。

【アクセス】
ロンドンからでもいいですか、私のように湖水地方からカーライルへ行き、セトル・カーライル鉄道でヨークシャーデイルズ国立公園の荒野(ムーア)を走り抜け、キースリー駅でキースリー&ワースバレー鉄道(保存鉄道)に乗り換えてハワースに行くルートがオススメです!





セトル・カーライル鉄道の車窓より。
こういう美しい駅を見ると、さすが鉄道発祥の国イギリス!と思う。

 

車窓より。
この景色!荒野!ムーア!最高!
(ええ、私はこういう景色が大好物です)


キースリー駅。
ここで、キースリー&ワースバレー鉄道に乗り換えます。
この色合い、イギリスだなあ。
ハリー・ポッターとかに出てきそうな駅。

ハワースに向けて、しゅっぱ〜つ。

キースリー&ワースバレー鉄道の車内。
なかなかハワースにたどり着かずにすみません。
そう、ワタシは鉄道好き女子。


キースリー&ワースバレー鉄道にて@

まっ白い頭髪とまっ白い長ーい髭を生やした、世界の車窓からまんまの制服を着たおじいちゃんの車掌さん。
むっつりした顔で、「切符を拝見します」。
私(カメラ片手に)「あ、はい、これ」と切符を見せる。
車掌さん、ちょいちょいと手招き。一緒に写真に写ってあげよう、という意思表示らしい。
「あ、じゃあ」と友達にカメラを渡し、立ち上がって隣に並ぶと、今度は「切符はここ」と切符切りの間にセットさせられる。私だけ笑顔でハイ、チーズ。
友達が「私も!」と言うと「あいたたたた。足が……」とかがみこむ車掌さん。まぁまぁそう言わずに〜となだめて、パチリ。私&友達「ありがとうございます!」。
しかし立ち去らない車掌さん。今度はこっちこっちと窓から外を見せようとする。シャッターチャンスがあるらしい。お、確かにきれいな景色が。パチッと写そうとすると「まだ!」と。あ、はい、すみません。「まだ、まだ、はい、いま!」パチッ。おお〜、いい写真が撮れた。
が、まだ立ち去らない車掌さん。他の客の切符の点検はいいのかい?と心配になる。するとぽつりと「となりはビュッフェカーなんだ。ビールが飲める」と一言。「へぇ〜。あとで行ってみます!」と答えたのに、立ち去らない車掌さん。仕方がないからビュッフェカーに行ってみる。その間無言で荷物を見ていてくれる車掌さん。その後やっと他の客の切符の点検に向かったかと思ったら、下車したHaworthで動き出したホームから列車を見送っていると、ボックス席に座って客とお話ししてる姿が(笑)。おいおい、仕事はいいんかい。ちなみに、最初から最後まで一度も笑わずむっつり顔でした(笑)。
キースリー&ワースバレー鉄道にてA

車掌さんに勧められビュッフェカーへ向かった友達と私。
カウンターの奥にはやはり世界の車窓からに出てきそうなおじいちゃんと地元の知り合いっぽいおじいちゃん達が歓談中。友達が「cokeひとつ」と頼むと、ちょいちょいとカウンターの中に手招きするおじいちゃん。ビールを入れさせてくれて、飲ませてくれました。
私が「この列車、どれくらい古いんですか?」と聞くと、「60年以上古いねー。昔はロンドン―エジンバラ間を走ってたんだよ。でも、もう古くなって引退して、こうして保存鉄道として走ってるのさ。車両もリタイアなら、乗ってるスタッフもallリタイアばかりさ」とおじいちゃんたち爆笑。そこへ反対側の線路にさらに古い型の列車がすれ違った。「あれに比べたら、この列車はまだまだBabyだね!」とまた爆笑。
いいねぇ、こういうユーモアのあるおじいちゃんたち^^。


ハワース駅。
ああ、本当にイギリスの鉄道駅はワタシ好み。

また明日ね〜!

ハワースの街。
いいねえ、この感じ。
イギリスの家は、それぞれの地方で採れる石を使って家を建てるので、地方によって建物の色が異なります。コッツウォルズが蜂蜜色なら、ハワースは嵐が丘色!今にもゴーストが現れそうでゾクゾクしますねえ。

村のメインストリートは一本。
村のどこからでもヨークシャーの荒野(ムーア)が見えます。

夕方になると観光客だけでなく地元のおっちゃん達がパブへ集まってくるのは、お約束の風景。
写真の右手は、ブロンテ家族の時代からつづいているパブ「Bluck Bull」

その向かいにある、パブ兼ホテルの「Old White Lion」にて今夜の夕食をとることにいたしました。
こういう古いパブ、ロードオブザリングやカリブの海賊の世界のようで大好き!


まずはビールを頼もうとカウンターへ。
ニア・ソーリーのパブ「Tower Bank Arms」で飲んだローカルビールHawksheadが大変美味だったので、ここでもローカルビールを探す。『Yorkshire BEST』と書かれたのがあったので「これ、ビールですか?」とカウンターのお兄ちゃんに聞いた途端、周りにいた地元のおじちゃん達が「それは最悪だ!やめておけ!」と大騒ぎ。
「こっちにしなさい。これは美味い!」と別のビールを勧める。
店員の前でそんなこと言っちゃっていいの?とカウンターのお兄ちゃんを見ると、彼もウンウンと頷いている。おいおい、そんなにまずいビールを自分のパブで出しちゃうのか(笑)。
「そんなに不味いの?」と聞くと「最悪だ。トイレの水をジャーっと流したような味だ」と水を流すジェスチャーまでする客たち。「でもBESTって書いてあるんだけど…」と言うと、「BESTじゃない。あれはBEASTだ!」と大爆笑。あはは(^^;)。
どんなに不味いのか興味があったけど、おとなしくおじちゃん達お勧めのビールにしておきました。

ヨークシャーぽいものを頼んでみた。美味しかったです!
イギリスは都市よりも田舎の方が料理が美味しいように思う。
それは日本も同じか。

翌朝は、丘の上のパリッシュ・チャーチへ。
ブロンテ姉妹の父パトリック・ブロンテが勤めていた教会です。
村の中心に一つの教会。典型的なヨーロッパの村ですね。

パリッシュ・チャーチ内部

教会の隣には、ブロンテ一家が1820年から1861年まで住んでいた家があります。内部はブロンテ一家が生活していた当時の様子を再現した博物館になっています。撮影禁止だったので、外観のみ。

裏手のお墓。
ブロンテ一家はここではなく、教会内部の墓で眠っています。

そしてブロンテ一家の家の先にあるのは、ヨークシャーの荒野。
嵐が丘です。

こんな嵐の日に荒野へ行く人間なんていません。
なので出会うのは羊くらい。

最初の頃はまだ道らしき道があったんですけどね。。。

ブロンテの滝付近。

ブロンテの椅子。
ブロンテ姉妹が小説の構想を練った岩とのこと。座り心地悪そうですけどね^^;

ブロンテ姉妹が遊んだという、ブロンテの滝。
写真では穏やかに写っていますが、このとき、ものすごい強風と雨でした。ご覧のとおり、カメラの調子もおかしい。

ここはまだブロンテ・ウォークというコースの半分付近。
この先に嵐が丘の屋敷の舞台といわれている廃墟トップウィゼンズ(Top Withens)があるのですが、強まる雨に身のキケンを感じたのでこれ以上進むのは断念。

ここで村へと戻ります。
すでに道はない(一応フットパスのマークはあった)。

写真では伝わらないかもしれませんが、めっちゃ嵐ってます。
Top Withensには行けなかったけれど、The嵐が丘を体験できたのはよかったです。というのは無事戻れたから言えること。この間、人っこ一人出会いませんでした。私は友人と二人でしたが、一人旅の方は嵐の日に荒野へ出るのはオススメしません。

それでも、ヨークシャーの荒野を埋めるヒースの花は圧巻です!
鮮やかではない、このくすんだ紫色こそヒースの色。

鉄道駅は村の中心部にあるのでロンドンからも気楽に訪れることのできるブロンテ姉妹の村、ハワース。
ヒースの花咲く季節にぜひ(^-^)





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